道高教組は9月11日、標記の書記長談話を発表しました。
学校現場の勤務実態は限界、「負担軽減」は待ったなし。教職員のいのちと健康を守り、子どもたちの笑顔輝く学校づくりのために、実効ある長時間過密労働解消策が急がれます
2017年9月11日
北海道高等学校教職員組合連合会
書記長 関 原 文 明
北海道教育委員会(道教委)は、2016年11月~12月に実施した教育職員の時間外勤務等に係る実態調査の集計結果を公表しました。全道から抽出した小学校28校、中学校28校、高校20校、特別支援学校10校の計86校(延べ4,249人)からの回答を集計したものです。
教諭の1日当たりの学内勤務時間は、小学校で10時間16分、中学校で10時間33分、高校で10時間02分、特別支援学校で9時間25分であり、所定内労働時間を大きく上回っています。2008年の前回調査と比べ、平均するとわずか27分の短縮となっているものの、国が示す「過労死ライン」に達する1週間当たりの学内勤務時間数が60時間以上と答えた人は、小学校で23.4%、中学校で46.9%、高校で35.7%、特別支援学校で5.2%にのぼります。
業務内容では、勤務日を見ると、授業や授業外の学習指導を除き、全ての校種において「授業準備等」の時間が最も長く、続いて「集団への生徒指導」「職員会議等」の時間が長くなっており、中学校、高校では「部活動・クラブ活動」の時間が長くなっています。勤務不要日を見ると、小学校、特別支援学校では「授業準備等」の時間が最も長く、中学校、高校では「部活動・クラブ活動」の時間が長くなっており、中学校では2時間20分(前回調査より+44分)、高校では1時間40分(同+57分)と、部活動の負担増が際立っています。さらに、勤務日においては、すべての校種で「30歳以下」の残業時間・持ち帰り時間が長く、勤務不要日でも40歳以下の青年層の割合が高く現れています。
この間、文科省はICT活用や「チーム学校」による業務改善、道教委は「教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組方策(2009年)」に基づき、取組をすすめているとしていますが、そうした政策では、長時間労働の解消につながらないことは明確です。道高教組・道教組は現在、全道教職員を対象に「2017全道教職員・働き方改善アンケート」を実施しており、その途中集計でも、部活動休止日の設定や割振り変更制度の活用など、道教委が実施している時間外勤務縮減重点取組みについて、6割以上の教職員が「効果的なものはない」と回答しており、寄せられた声からも道教委の施策が、現場の実態とかい離していることが明らかになっています。
加速化する長時間労働の背景には、安倍「教育再生」のもとですすむ、過度な競争主義教育と、管理・統制の教育があります。2008年の学習指導要領の改訂で、1週当たりの授業時数が増えています。また、全国一斉学力テストや少数エリート育成を目的として実施される文科省指定事業の押しつけなどによって、学校間の学力競争は激化し、短期的で目に見える成果ばかりに着目した学校評価・教員評価の導入によって強いプレッシャーが与えられ、質・量の両面で教員に対する労働負荷は確実に増大しています。さらに2020年度の小学校から中学、高校と順次全面実施される次期学習指導要領についても、小学校では英語やプログラミング教育などが新たに盛り込まれますが、授業時間が削減される教科はありません。文科省は、土曜や夏休みに授業を行う案を示していますが、教員の負担がさらに増えることは間違いありません。
部活動においても、土日も休みなく練習が行われるなど、適切な休養日を設けられていなかったり、夜遅くまで指導に当たっている実態があります。少子化に伴って教員数が減少しているものの、設置する部活動数の削減はすすんでおらず、部活動を指導する教員の超勤と負担は増大しています。また、事務室でも支援金業務などで仕事量が増大しているなど超勤が常態化しています。
子どもたちの笑顔輝く学校づくりのためには、教職員が笑顔で教育活動をすすめられる職場環境が重要です。35人学級の拡充を含めて教職員定数の抜本的改善、必要な教職員を正規で配置することなしには、問題の解決にはなりません。私たちは、長時間過密労働の解消のために、小・中・高すべての学年での35人学級の実現を含めた教職員定数の抜本的改善、教員1人当たりの授業時数の上限設定、長時間労働の歯止めとなっていない給特法の改正はもちろん、勤務時間の適正な把握、休暇の拡大や部活動指導における負担軽減、割振変更要領の改善、週休日の振替の改善などを求め、教職員、保護者、地域の方々、地方自治体や議会等とも共同し、さらなるとりくみを続けていく決意です。