さて、まもなく新年度、今日は高教組加入の訴えをさせていただくことにしました。(以前に載せた文章を修文しています)

 高教組をやくざや宗教団体のように勘違いする方もいますので、丁寧に説明します。少々お付き合い下さい。

 私たちは労働組合ですので、組合費を払い合って活動していますが、昨年から若い教職員がどんどん増えています。なぜ身銭を切ってまで集うのか。その意味をあなたにもわかって欲しいと思います。

 組合費は給料の約1.5~2%です。戦闘機やオリンピック、そして万博などに無尽蔵に使われている消費税10%よりだいぶ少ないです。あなたの大事なお金の一部を、私たちと共に活動するために使いませんか。これがあなたの「ドライスーツ」になるはずです。いきなりお金の話はしたくないのですが、お金に換えられないことがあるのでお金の話からです(笑)私たちの勤める「学校」。かつては魅力にあふれた職場でした。「熱中時代」「中学生日記」「金八先生」「スクール☆ウォーズ」など私の同世代なら誰もが共通の話題にできる学園ドラマが流行った時代がありました。それは教師という仕事が子どもたち一人一人の人生に大きな影響を与える魅力ある仕事だったからです。金八先生には「家庭」がよく描かれていました。家庭があって学校がある、それは当たり前だった時代がありました。

 今の学校(高校)はどうでしょう。学校での子どもの姿、とりわけ生徒の成績ばかり見て、どこに進学できるだの、就職できるだのとそんな話ばかりしています。本人の成長よりも他人とばかり比べ、生徒の家庭は見ないようにしている。だから、わざと「おう、君んとこの母さんは元気か。」「お前んとこの犬は元気か。」なんて話をするとめちゃくちゃ生徒との距離は縮まったりするわけです。ぜひやってみてください。こんなくだらんことで、生徒から、「先生だけはなんか違う」なんてステキな言葉をいただけます。それは昔の校長もそうでした。「嫁さんとうまくいっているかい?」「子どもは元気に育っているかい?」「子どもは中学生になったか?」という会話のできる校長も沢山いたのものです。今は「セクハラに気を付けましょう」「○○を提出してください」「引っ越しの準備もあるでしょうが4月1日から勤務です(本当は7日迄に着任すればいいことになっている)」「夏休みも出勤です。休む場合は年休を取りましょう」「飲酒運転はしないように!」などと「自分の責任回避かよ!」と思うような発言しかできずに校長室に引きこもってカリキュラムマネジメントにいそしむ管理職ばかりが養成されています。おっと話がそれました。昔は教育も魅力がある仕事だったという話でした。

 しかし今、教育現場には非常に困難な状況が生まれています。致命的な事態が「長時間過密労働」と「教員不足」です。何がこのような状況を生み出したのでしょうか。これは「新自由主義」や「国家主義」とそれに基づく政治が根っこにあることは間違いありません。特に、教員にとっては研修権が侵害されたということが最も大きいのではないでしょうか。なぜ教員の研修研を奪ったのか。誰が実行したのか。今、裏金問題で一番問題になっている方々の肩書きを見て下さい。みなさん「元文科大臣」です。そして「統一協会」と深くつながった方ばかりです。

 教師にとって真に主体的な研修は命です。そのための夏休み、冬休み、テスト期間などでの自分だけの時間が保障されていました。その時間を使った自主的で主体的な研修によって、豊かな人間性が育まれたり、新たな気づきが生まれ、「授業づくり」や「学級づくり」「行事づくり」に生かされていました。しかし、今では夏休みやテスト期間も勤務を強いられ、勤務で「忙しすぎる」ことが研修で「学ぶ時間すらない」という状況を生み、悪循環が学校の魅力を日々奪いつつあります。生徒との信頼関係も遠のくばかりです。まさに「学校」という道教委(文科省・政権与党)が作った『泥船』に乗っているような状況がここにあります。こうした状況で、自分だけ元気な先生でいることは年々困難になっています。どんどん職場の活力は失われ、休職者も増え、教員のなり手も無く、元気であればどんどん仕事が回ってきます。担任や部活の顧問を持ちたがらない教員を批判する分断も生まれています。ここにはもう、自分だけではどうにもならない問題があるのです。そして、当然のことながら文科省・教育委員会任せではどうにもならないのです。いい殿様(文科大臣・校長)が行政トップになったり、学校にくればなんとかなるというたぐいのものではないのです。私たちには仲間と共に学び、魅力のある授業をし、仲間と共に間違った教育行政には「ふざけるな!」と怒りのNo!を突き付ける存在が必要ではないでしょうか。環境適応ばかり押しつけられた若い世代の方には一見文句に聞こえるかも知れませんが、文句権利にもとづく要求には決定的な違いがあります。そして、仲間と一緒に要求できる存在、それが北海道高教組です。

 私たち北海道高教組は労働組合ですから、賃金の向上に向けての交渉はもちろん、権利を学び、権利を使うことを応援します。働き方や、学校の制度などで「おかしいな」と思うことを相談できます。不当な扱いを受けた時に、労働者としてたたかうことができます。困ったときには組合員に相談すれば助けてもらえます。役立つ社会・教育の状況を学べます。話ができる、聞いてもらえる交流の場があります。校種が違う教職員と交流ができます。子どもを大切にした実践をしている教職員や教育に興味のある市民団体の方とも出会い学べます。全国・地域の教職員が集まる学習会に参加し、多くの実践を学べます。これが私たちの「酸素ボンベ」になります。

 まずみなさん、「あー、もうやってらんねえ」といおぼれかける前に、今の職場の状況に本気で怒りませんか。自分と自分たちの職場を守りませんか。職場を守り、そして学びあうことで「子どもを大切にするとはどういうことか?」と考え続けることが、教職員としての人生を満足したものにできるんじゃないでしょうか。まず怒り、学ぶことで「あー、先生をやっていてよかった。」と思える時がたくさん来ると思うのです。

 思わず熱が入りすぎました。やらかしました。なにか“組合に入ること=なにかハードルが高いこと”のように思わせたかもしれません。もし「こんな教員生活は思い描いていたのと全然違う!」とポンプを外された金魚のようになっているあなたがいるとしたら、私たちは力になれます。いや、あなたの力をお借りして、この状況を変えていきたいと思うのです。

 労働組合なんて時代遅れという方もいます。それは間違いです。実際は日本が時代遅れなのです。ワールドニュースという番組がNHKBSでやっています。一度見ていただくだけでもヨーロッパ諸国のニュースから労組というWordが何度も出てきます。格差分断が進んだアメリカでも労組はどんどん増えつつあります。

 冒頭に昨年来、若い組合員がどんどん増えていると書きました。しかし、その何倍もの未来ある若者が心を病んだり、中途退職に追い込まれている現実があります。まずは私たちの学習会に参加して、酸素ボンベのある教員生活をイメージしてみませんか?(2024.3.28)