北海道高教組は高校と特別支援学校の教職員で構成されています。そして事務から給食調理員、実習助手さんから公務補さん等、実に多様な職種の方々で構成されています。ボクは理科教員ですから、多様性を保つことの意味は深く理解しているつもりです。生物の世界では、個別には食う食われるの関係はありますが、全体としてその多様性の中で見事につながり合っています。

  私たち教育を担うものは、人間を相手にしている以上、深く人間を捉える必要があると思うのですが、なかなか学校という建物にいると閉鎖的な思考になります。しかし、高教組には多様な先生がいますから、その出会いの中でハッとさせられることがあり、それが高教組の良さだなあと思うのです。

 7月29・30日は全国寄宿舎学習交流集会がありました。恥ずかしながら長年高校現場にいたボクは寄宿舎の職員が何をしているのかはよく分かっていませんでした。広域な北海道では特別支援学校はどこの町にもあるわけではありませんから、通学できない地域から障害のある多くの児童・生徒さんを受け入れているのですが、そこには原則、寄宿舎を設置する義務が道教委にはあるのだそうです。そうした寄宿舎には子どもたちと生活を共にし、社会に送り出すためにお仕事をされている寄宿舎指導員の方々がいらっしゃるのです。

 ボクはお手伝いで寄宿舎の学習会に参加したのですが、この学習会で語られていることは今、高校現場で忘れかけていることばかりでした。寄宿舎の方々は、実は私たち教員よりも教育の原点について深く考えている方々にも見えました。「子どもの遊ぶことの必要性」「コミュニケーションにおける信頼関係づくり」「身体活動による自己肯定感の高まり」などが実践の中で深く語られていました。

 今、高校では「学習保障」や「キャリア教育」いうカッコいい言葉が良く聞かれますが、ボクには教育として大事なことを切り捨てながら進んでいるように思えます。球技大会、遠足、芸術鑑賞などの行事は授業時数確保のためにずいぶん少なくなりました。学校祭の時だけことさらに職員会議で教員の労働条件を切り出す議論にビックリすることもあります。生徒と一晩つき合いながら山車を作るなんていう学校祭は無くなりました。今、子ども期を遊んでいない生徒が増え、行事をすれば小学生のような喧嘩になったりして退学にまでつながるケースもありますから、めんどくさいことから回避したがる傾向が高校では顕著にある様に思います。

「行事づくり」、「学級づくり」は教職員組合の得意とするところです。その中で「 集団づくり」、そして「生徒との信頼関係づくり」を深く考えてきました。あまりに降り注ぐたくさんの課題の中で、「そんな事をボクたちは忘れかけていたなあと深く反省した全国寄宿舎学習交流集会でした。

  そうそう、この学習会で披露された新篠津高等養護学校の演劇は本当にすばらしかった。指導する先生、そして演技する子どもたちにブラボーでした。