一昨日、ある大学で「道立高校の統廃合政策」について語って欲しいという依頼があり講義をしてきた。GW明けだし、15:00過ぎの講義で、学生さんもご苦労だなあと思ったけど30人くらいの学生さんが集まってきた。

講義では9万人いた30年前と比べ生徒が半減していること、ここ20年で50校ほどの道立高校が無くなっていることを示した。それで言った。「この数字を見て、これだけ生徒数が減るのなら地方の学校が無くなっても仕方ないと皆さんが思うならボクが来た意味は無いし、話す意味もありません。」学生は数字を見て仕方ないだろという表情をしていたけれど、ついでに自己紹介しながら言った。

「ボクは今、高校の先生を休職して、北海道高教組という労働組合でお金をもらって働いています。このお給料は、労働組合に賛同して加入し、組合費を支払っている方がいて、その組合費から出しています。そんな労働組合ですが、皆さんは高校で労働組合というものを教科書で習っていると思いますが、ほとんど誰も説明できないでしょう。」というとほとんどみんなうなづく。

そんで、ちょっとプライドをくすぐるように言ってみた。「先日、大通で賃上げのアクションをしたときに、通りかかった外国人の若い女の子達は僕たちを見て『Woo,Union!うん、労働組合の人達ね』と何のために何を訴えてそこに僕たちがいるかを理解していました。労働組合を知らない大学生の集団がここにいるとその若者達が知れば、相当バカな集団がここにいると言うことになると思いますね。いやいや、皆さんがバカだと言うんじゃなくて、その程度の教育を受けて来たと言うことです。」というと、スポーツをやりたくて大学に来てそうな学生さんも顔を上げ始めた。

 「道教委は高校潰しの理由として、地方の学校は適正規模(1クラス40人で1学年4~8学級)ではないので、統廃合対象だ。としてきました。これは本当にそうでしょうか?」と言って、1学年4~8クラスの学校を卒業した学生さんがどれくらい手を挙げるかと思ったらほとんどだった。3クラス以下には誰も手を挙げなかった。「ははは(笑)これでは今日、ボクが小さい学校の価値をいくら語っても皆さんには通じないかもしれないな。」とボクは苦笑いして、「あ~道教委の役人達も小さい学校の価値を体験できない点で同じかもしれないな」と思った。

 「まず、労働組合の存在を知らないことと、統廃合が進むこととは少しつながっています。そもそも、皆さんは、1クラス40人で学んできた人がほとんどです。これは、先進国では異常なクラスサイズです。先進国では少人数で学んでいて、そういう中では中学生が政治の話を語ったり、労働組合の存在も当然理解しています。一人一人が考える力を持つ。それがこれからの時代に求められていることなのに、日本のクラスサイズは40人のまま。その状態でどんな学びがされてきましたか?普通は、「今度テストあるぞ」とか、「そんながんばりじゃ大学に入れないぞ」とか、「推薦に不利になるぞ」とか脅かして勉強意欲をかき立てようとする先生ばかりになります。そうとうな力を持つ先生を除けば40人の生徒をよく理解して授業するなんてできませんから、普通は脅かすしかないんです。そうじゃありませんでしたか?」というとかなりの生徒はボクの味方になった。「40人学級で質の低い教育を受けると、労働組合も分からないし、学校もつぶれていくんです。だってね。クラスの人数を先進国で当たり前の20人にすれば生徒の数が減っても、学級数を減らすことも無いし学校を潰す必要はほとんど無いのではないですか?と言うことです。」というと大方の生徒は納得してくれた。「そういう教育が求められる社会なのに、40人学級のままなのは、ボクはこれは意図的なものだと思いますよ。みんなが賢くなって賢い大人が増えたら、利益を独占できなくなると考えている人達が国の中枢にたくさんいるんだと思います。」と余計な事を言ってみた。

 「それで『40人 4~8学級が適正規模』だと何がメリットだと道教委が言っているかというと 「①いろんな先生がいる」 「②いろんな教育課程(教科)が組める」 「③部活動が盛ん」 これが大きな理由です。しかしです。ボクは最大のデメリットは「授業の質が低くなってしまっている」ことだと思うんです。これが少人数の小規模校とは違うんです。例えるならどう言えば良いかずっと考えてきましたが、大きな学校の授業は「コンビニ弁当」の様な授業が多いと思います。どこでもどんなところでも同じような授業。そして、そこそこうまいかもしれない。いや、「まずい弁当しか食えなかった」という人もいるかもしれません。今、先生方はとても忙しくて授業の準備もままなりません。そうなると電子レンジにかける手間すらない「冷めたコンビニ弁当の様な授業」が多くなっていると思います。少人数学級になっている小規模校の授業は、例えて言うなら「お袋の味」の様な授業が多いと思います。と言って、ボクの勤務していた古平高校の生徒の様子とデータを示し、古平高校でやっていた授業の一部を紹介した。(続く)

 

 ちなみに写真に本部飯が久しぶりに登場しましたが、ボクの2日間のご飯。20:00過ぎまで勤務をしてしまうと、帰りのイオンで激安タイムになり、お総菜をたくさん買い込みます。そんで総菜の揚げや鶏肉のうどん、チキンカツで作ったレトルトカツカレーです。本文は「お袋の味」なのに自分の昼ご飯は・・・(笑)

(2023.5.10)