北海道の高校配置を議論する、地域別検討協議会という会がある。全道を19の地区にわけて、道教委の作った「これからの高校づくりの指針」なるものを説明し、高校配置の基準を説明する。この会に私たち北海道高教組はなぜか参加資格がないので、傍聴をすることにしている。ボクもこの会を傍聴して3年目になる。

 北海道は全国でも飛び抜けて広域で過疎が進んでいるわけだから、189ある道立高校のうち、1学年1クラスの高校がなんと55校もある。どんなに生徒数が少なくなろうとも、一人でもそこで学びたいという生徒がいれば学校を存続して学ぶ場を確保するのが憲法にもある「教育の機会均等」ではないかと思うのだが、この会議で話される「教育の機会均等」はボクの考える教育の機会均等とは違っている。

 道教委や、多くの校長が語る「機会均等」は、田舎にいても一流大学に入れる教育課程を用意しているかどうからしい。つまり、「学力」をどの地域でも担保できるということらしい。だから、校長からは「こんな田舎でも北大に入りました!国公立大学には5人はいっています。」などという会話が飛び交う。そして道教委も「魅力が出てきましたね」となる。そうするとその学校の魅力が増して地元の生徒が入学してくるはずだ。と思い込んでいるらしい。ボクは仮にそうした進学ニーズの高い生徒が入学してきても、その生徒は3年後には人口流出するのだから、地元に残る生徒に何ができるのかを考えれば良いと思うのだが・・・。

 でも、道教委が考える「機会均等」は入学生増にはつながらない。道教委が魅力満点だという高校(例えば総合学科がそうだった)も入学生が減り、10人を割ると来年も10人を割ったら問答無用で募集停止になりますよと言われる(地域特例校でなければ20人)。それまでは、道立高校であるにもかかわらず地元自治体が交通費を出したり、教科書代を出したり、タブレット代をだしたり、海外研修の費用を出したりして必死に魅力を訴えてきたにもかかわらず、潰すときは「道立高校ですから」と言うわけだ。校長は生徒の思いはもちろん、地元の状況や考えが分かるだろうに、道教委の方針には異議を唱えない。

 常に高校生き残り策に翻弄される自治体はとてもかわいそうだと思うが、同情できない部分もある。

 それは必死に学力競争をあおっていることだ。地方教育委員会は一生懸命、学力テスト対策や北海道チャレンジテストと言った学力対策を小中学校に押しつけている。いわゆる「やりすぎ教育」で、そんな事をすれば偏差値でしか考えられない親や子どもが増えて都市部の高校に流出するのは当たり前ではないか。本気で自分の町の子どもたちを不必要に流出させたくないならば、文科省がなんと言おうと、道教委がなんと言おうと、学テを拒否すべきだとボクは思う。競争から子ども(先生も)を解放してあげることだと思う。そうすれば不登校もいじめも(教員不足も)減っていくとボクは思う。競争の結果、一流大学の生徒を含めて日本の若者の自尊心は世界最低レベルなんだから・・・。

 写真は職場の近くに咲く満開のコブシ(木蓮かもしれん)です。今年は最高にキレイです。