昨年「#教師のバトン」が炎上してずいぶん話題になった。教員不足が顕著になってきたから、「教職の魅力を現場の教員に語ってもらおう」という文科省の画期的な企画だった。大いに炎上して、私たちが始まった当初から訴えてきた教員免許更新制の廃止が現実となった。

昨日も書いたが、教員不足は教職の魅力が損なわれたことが原因だ。繰り返しになるが、北海道で言えば10%もの道の独自賃金削減がされ、公宅料ははねあがり、暖房もろくに入らない。機械警備の導入、現業職民間委託、事務センターの設置。病休制度の改悪、型にはまったいじめ対策、シラバス作成、2学期制の導入、入試の多様化、人事評価の導入、学習指導要領の押しつけ、土曜授業・7時間目授業の実施、特色ある学校づくりの押しつけ、機械的な授業時数確保、学テ体制・学力等実態調査、キャリア教育推進、学校統廃合、服務規律等実態調査、署名までさせるコンプライアンスの徹底、挙げ句の果てにコロナ対応に観点別評価、ICT利活用の押しつけ、そして混乱を招く校務支援システムの変更。

 こういった教育行政施策によって多忙化は量的にも質的にも進行した。先日、オホーツク合研で、あるベテランが、「でもさ、俺は昔の方が忙しかったと思うんだよ。」とおっしゃっていた。確かにボクもそうだった。昔は毎日生徒指導事故で遅くなった。でも、それは生徒と対峙する忙しさだった。この10年の多忙化は生産性がない。教師としての喜びに結びつかない。そんなことがめちゃくちゃ増えた。質的に特にひどいのだ。

 こうした失われた教職の魅力、それに対して本日、教員不足に対応するために文科省は秘策を練りだした。さて?

 それは教員採用試験の早期実施が答え(笑)。まだ検討段階とはいえ、本当に実施となると、あと半年。作問から会場の確保まで、道教委は大変なことになるだろう。今までは文科省が言うとおりに現場に押しつけてきた多忙化だが、道教委だって対応しきれなくなるのではないか。定年延長と再任用制度も同時に進行する。その他にも、教員免許更新に変わる新たな研修への対応、観点別評価で特に思考力を問う問題が増え、高校入試の作問も難しくなる(各県で同じ状況になり、採点時間が延びて、ミスまで出て処分までされている。)。などなど、教員の多忙化は都道府県教委にも連鎖しそうな気配がする。

 心配をしても仕方ないところを心配しているが、教育の先が思いやられる。