昨日もクライマックスシリーズがありました。阪神vsヤクルト戦。村上砲が火を噴きました。どこに行くかわからない藤浪のストレートが外角低めに決まったのにレフトスタンドに放り込みました。さすが三冠王。
さて、電車の中で読んでいた教育雑誌「人間と教育」の中で、加藤登紀子さんがインタビューに答え日米安保条約が可決したときの家庭での会話について語っていました。とても印象的だったので紹介します。お兄さんは安保反対闘争においてめちゃくちゃ活動家だったそうです。
『ただ、これも忘れられないんだけど、ウチの母が、兄が「(安保闘争は) 敗北だ、敗北だ。条約が通ってしまった」って言ったら、チャンチャラおかしいって言って笑ったんです。「日本という国を向こうに回し、その向こうにアメリカがいるのに、デモをしたくらいで勝てるはずがない。それはあなたたちの大間違い、甘いわよ、国はもっと怖いものよ。けれども、デモは素晴らしかった。負けていいのよ。負けたから敗北なんじゃなくて、負けてもやるっていうのが、デモなの。やればいい、傷ついてもやるんだっていう、そういう人がいたっていうことが大事なんだ」って、母は言うわけです。私は、母のその歴史観は素晴らしいと思いました。兄も黙って聞いてました。
当時、私は高校生で、その母と兄のやり取りを横で見ていたんだけど、絶対、母の方が勝ちだなと思ったわけ(笑)。学生さんは「やっても効果があるのか」「結果何が変わったのか」……………そういうことに叩きつぶされるんですよ。今までもいろんな時代に素晴らしいときはなかったわけではない。だけど、革命にしても、素晴らしかった瞬間は歴史のほんの一瞬なのよ。一瞬の真実。必ずそれを誰かがたたきつぶし、誰かが汚していくんです。』
いい話でしょ。今、沖縄の基地での座り込みで、you-tuberなるひろゆき氏が「こんな座り込みは座り込みではないし、こういう行動は逆効果だ」というようなことを言って物議を醸しているんだそうです。「やっても効果があるのか」に若者はたたきつぶされる。でも、そういう人がいたって言うことがすばらしい。すぐ結果ばかりを見て自分は行動しないくせに俯瞰した物言いをする人がいます。でも行動しないとわからないことがある。そういうことをずばっと言った加藤登紀子さんの母の歴史観はすごいですね。