自分の子どもを見ると、自分の若い頃とダブらせて、ここはそっくりだなとか、こんなことで大丈夫かとか思ったりします。ボクの母親は小さい頃からどちらかというと、押しつけの教育が多い人でした。良いこともたくさんあったと思うし貴重な体験ができたとは今思いますが、きっとこういう体験をさせたいと母なりに勉強して、ボクにやらせていたのでしょう。例えば、鉛筆を小刀で削ったり、子ども劇場の演劇を見たり、やたらと野生に近いキャンプ体験をしたり、平和についてもずいぶん考える家庭に育ったと思います。けれど、めちゃくちゃ興味があったことは野球や歴史や虫でした。それで、自分の子育てはどうだったかというと、ボクはうちの子どもたちには剣道以外は押しつけませんでした。大人になってきて「新聞くらい読めよ。」とかイヤミは言いますけどね。
そんな息子も青森県の小学校の臨時教員を1年務めました。ぐちゃぐちゃの3年生のクラスの副担任で、毎日1年間昼休みに遊んだそうです。本人のポリシーは「大人の圧倒的なすごさを見せる」ことだそうで、相撲でも鬼ごっこでも手を抜かないそうですが、最後にはよってたかってやっつけられるそうです。生徒の団結力を高めていますね。そんな息子が離任するときに保護者から手紙を1つもらいました。
「うちの息子がスキー大会で6位になったときの事です。5位の判定がもつれて、うちの息子はもう一人の子に譲りました。でも、前の日に家で『お母さん、明日絶対5位になるからね』って張り切っていたこともあって、複雑な感情だったようなのです。だから6位が決まった時に、先生が『お前がそこで譲ったというのは5位になることより大事なことかもしれないぞ』って言ってくださったそうで、そのことにはすごく感謝しています。」と書いてありました。これにはすごくじーんとしました。あー、ゲームばっかりしている息子だけど、こうやって成長するもんだなと・・・。
女性の担任の先生も青森を発つときに朝4時の出発に来てくれて、最後まで手を振ってくれていました。くそガキ達と一緒に戦った「戦友」なのだそうです。