03 憲法違反の「戦争法案」採決という戦後憲政史上の汚点、安倍政権の暴挙に満身の怒りをもって抗議し、廃案まで徹底してたたかう(声明)
 7月16日、安倍政権は「戦争法案」(安全保障関連法案)を、昨日の特別委員会につづき、衆議院本会議でも採決を強行し、自民・公明などの賛成多数で可決し、参議院へ送付した。本会議での討論後、民主・維新・共産など主な野党は、強引な運営、審議打ち切りに抗議し、採決に応じなかった。
 昨日の特別委員会での強行採決を受け各紙は「民意置き去りにした暴走」(道新)、「民主主義揺るがす強行」(毎日)、「戦後の歩み覆す暴挙」(朝日)などと社説をたて、さらに「民意畏れぬ『数頼み』」(毎日)、「熟議置き去りにした政権」(朝日)と両紙は政治部長の署名記事を1面に掲載している。本法案に116時間余の審議時間をかけたにも関わらず、「安保法案議論深まらず」(読売)という状況で審議を打ち切り強行採決するのは政権の慢心を示すと同時に、この間の法案廃案を求める国民世論の高まりと審議を重ねれば重ねるほど違憲性が明らかになる事態への焦りに他ならない。
 憲法審査会での3憲法学者の「違憲」表明に続き、「安全保障関連法案に反対する学者の会」への賛同署名は1万600人を超え(7月16日)、広範な学者・研究者の意思が表明されている。また、日本弁護士会は特定秘密保護法につづき、憲法違反の法案は認められないと旗幟を鮮明にし廃案にむけた運動を各地で展開している。さらに、元最高裁判事、元内閣法制局長などが同様の立場で言を発し、本法案の違憲性は白日の下に晒されたに等しい。なにより、国民一人ひとりが本法案の廃案を望んでおり、とりわけ若者が本法案に抗議する姿が顕著なのは、法案成立後に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が」我が身に降りかかることを予見しているからに他ならない。
 わたしたち教職員は「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、街頭宣伝はじめ、反対集会への参加、国会議員への直接・間接の要請、「全国教職員投票」(全教の提起)による意思の集約などにとりくんできた。そこに寄せられた3万4千に及ぶ声は立憲主義、民主主義を顧みない政権への怒りにとどまらず、平和な世を後世に引き継ぐ決意に満ちている。北海道でも、労働組合のナショナルセンターの違いを越えた共闘や若者の自主的な行動が巻き起こり、7月11日には6000人を超える戦争法案反対北海道集会を成功させた。道高教組、道教組の各組織も地域での宣伝や集会に立ち上がり、まさしく教職員組合の責務として「戦争法案」反対に立ち上がっている。
 政権は本法案の成立を見込んでいま、軍事費以外のあらゆる分野の予算削減を行い、消費税の増税と併せて「戦争する国」「企業が世界で最も活躍しやすい国」づくりをすすめている。労働者に「生涯ハケン」を押しつけ「正社員ゼロ」を目論む労働者派遣法案、マクロ経済スライドなどによる年金受給額の削減、生活保護受給を押しとどめようとする水際作戦など、痛みと不安を国民に押しつけている。また、義務教育学校(小中一貫校)創設などで学校統廃合を推進し教職員数の削減を狙う学校教育法改悪、教科「道徳」による特定の指向性をもった人格教育の押しつけ、国の意向を教科書に反映させる教科書検定の強化など、本来、行政からの独立性が求められる教育にもあからさまな政治介入を行っている。
 「戦争法案」は今後、参議院での審議に付されるが、国民はこうした政権の地金を既に見抜き、内閣支持率もついには支持と不支持が逆転している。国民の声は、単に本法案の廃案を求めるにとどまらず、安倍政権の即時退陣を求めるところまで達している。この声は昨日、国会前に集まった6万余の群衆にとどまらず、全国各地から地底のうねりとなって響いている。わたしたち教職員は、全国の広範な仲間とともに本法案の廃案を求め引き続き運動を強めるとともに、安倍暴走政治に歯止めをかけるべく全力を尽くすことを表明する。

2015年7月16日
北海道高等学校教職員組合連合会、全北海道教職員組合