ボクはスポーツを観るのが大好きだけど、とりわけプロボクシングを見るのが好きだ。子どもの頃に具志堅用高が負けてタオルが投げられたのに衝撃を受けたし、怪我から復帰して負けが込み、背水の陣の辰吉丈一郎がシリモンコンという化け物みたいに強いチャンピオンを倒したのには熱狂した。その後、長らく日本人が弱かった時代を抜けて、長谷川穂積、山中慎介などが時代を作り、今や軽量級は世界でも日本人が圧倒的な強さになっている。井上尚弥、中谷潤人など、歴史に名を刻む存在になりそうなタレントまで登場した。これまで、数多くの魅力的なチャンピオンがいる(いた)けれども、そんな中でも、ボクが好きだったボクサーが川島敦志だ。彼は打たれ弱いという弱点があったけれども、アンタッチャブルと呼ばれるディフェンスで相手のパンチをかいくぐり倒していく。これがかっこよかった。
 何で川島選手を思い浮かべたかと言うと、今は交渉の時期だからだ。道教委は「アンタッチャブル」。川島選手のようだなと思ったわけだ。カッコ悪いけど・・・。「安倍教育再生」により、私達は単に忙しくなっただけでなく、教育の本質から外れるような業務が激増した。道教委は「安倍教育再生」を担う文科省の指示通り、いや必要以上に人事評価やコンプライアンスで管理し、教育現場に様々な業務を求め、現場は疲弊し、教員不足も病気休職者も増えるばかりだ。それなのに、「働き方改革」は一生懸命やって、少しずつ進んでいるかのようにアピールする。その「働き方改革」も現場のための働き方改革より、文科省の指示通りやってますとアピールするためにやっているんだなと感じる。その取組は現場の実感を伴わないが、現場に聞けば今まで議会等で答弁してきたことの前提が崩れるから聞こうともしない。
 その一端を我々との折衝の一幕から紹介しよう。
 
○年2回の簡易型エアコンの設置取り外しが教員の業務になるのはおかしい。業者に来てもらう予算をつけろ⇒予算の編成は管理運営事項なので返答する必要ない
○アクションプランにある、「部活動は一週間16時間程度」が守られているか実態を伺う。⇒これは生徒の活動時間制限なので、交渉にはなじまないので答えない。
 
こんな事のオンパレードだ。そしてしまいに、「以前回答済み」だの「(持ち帰り業務など)無いはずの業務に対する質問をされても答えられません」だのといってくる。こちらは以前回答していても改善していないから聞いているんだが・・・。さらには「回答しかねるので、質問を取り下げろ」といってくる。これには腹が立った。つまり「道教委が困ることは聞いてくるな」という忖度を強いるものだということではないか。思い切り抗議した。しかし、その声も窓口の人が聞いて低姿勢に徹するだけで、現場の声は届いていないようだ。
「全体の奉仕者」の公務員として、もっとどんと構えて、現場のために一生懸命尽くす姿勢を見せて欲しいものだ。また、現場のためには原則通りでは無くてもできることがあるはずだ。そういう柔軟性は全くない。たくさんの担当課があるけれども、縦割りを解消して一緒に解決するという姿は微塵も無い。自分たちの組織防衛の姿勢ばかりが目に付くのだ。砂上の楼閣を守るがごとく、「聞くな」「聞かせるな」という「アンタッチャブル」状態に持ち込もうとする。そして、現場が苦しもうとも、上司には迷惑をかけないという姿勢が徹底している。川島選手はカッコいいと思ったが、行政の姿勢としてはまことにみっともない。
 一人一人の担当者を信じて、腹を割ってこちらの本音を伝え、一緒に考えましょうと伝えてきたのだが、それを逆手に取って、いかにこっちの要求を躱すかと言うことが非常に目に付くようになった。
 現場の教員が本当に苦しみ、身体を壊してまで必死に働いている人がいることに思いを馳せて欲しい。
 今なら、「日本の巨大な行政組織の闇」という本が書けそうだ。