録画していた5月16日放送のNNN’ドキュメント「ホームルーム 伍朗ちゃんがいる教室」を見ました。高校卒業後も毎年HRをやってきたという話です。泣くほどめちゃくちゃイイ話でした。

舞台は長野の松本深志高校。担任だった山本伍朗先生を囲んで同窓会をしようと呼びかけたら,先生が「授業をしたい」というので毎年HRをやるようになったらしいです。番組では目を皿のようにして話を聞く生徒の年齢も62歳。先生は86歳。「伍朗ちゃん」の話を聞きたくて…。

 松本深志高校はボクのいた信州大学こまくさ寮の近くにありました。県内でも1・2の進学校。隣にあった源太という山賊屋さんにはめちゃくちゃお世話になったから懐かしい。

HRの実践家で文科省の指定を受けていたこの高校の生徒の手引きには8pにもわたるHRの心得が書かれていました。憲法に基づく民主的な社会を作るためにHR活動があると…。この時代と今の時代を比べると悲しい感じがします。哲学的な「伍朗ちゃん」は死の1か月前に最後のHRをビデオに遺していました。そして「君たちはいい生徒だ。私は本当に幸せだった。」と言ったあと次のように語りました。

 

「私」が始まりである

「私」だけが心理と出会うことができる自由である

そこが人間の自由

 

哲学的ですねえ。

「私が見ているものがすべて」

私が見ている世界は他の誰にも見ることができない

ということらしいです。この遺言を伍朗ちゃんのクラスの人達が松本深志高校の教室でみたあと,生徒の一人が教壇でしゃべりました。深志高校は名門だから,そこに集まる生徒も日本中(世界)で驚くような仕事をしてきた人ばかり。でもこの人は保育士さんです。

「私は保育士です。卒業して高校の職員室に遊びに行ったとき,ある先生が『お前,深志を出て保育士かあ』と言ったんです。でも,その時伍朗ちゃんはすぐに言ったんです。すぐに。あなたが保育士で子どもたちは幸せだなあって。幸せだなぁって。その言葉をもらった時,霧が晴れたようで今まで仕事をしてきました」

ヒューマニズムを感じまくってしまいました。ちな

みにこの10年分くらいのHRの記録は松本深志高校の放送局が記録を残していて,エリートの彼らが現在の進学競争,学力重視の中にある今の学校のHRとの違いに気づく場面も見どころでした。

そして伍朗ちゃんのクラスの人達に聞いてみたくなりました。教育って何ですかと。

ビデオを見たい方には録画して送りますよ。

 写真は全く本文に関係ないですが、毎日本部で作っているボクの昼飯です。赤や緑を増やしたいと思います(笑)。

(2021.6.1)