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 本日9月17日、安倍政権は「戦争法案」(安全保障関連法案)を参議院安保法制特別委員会(鴻池祥肇委員長)で混乱のなか採決を強行したとしているが、断じて認められない。委員会への差し戻しを要求する。
 15日の中央公聴会では、元最高裁判事、憲法学者、国際法学者、SEALD’sメンバーが「戦争法案」への強い反対意見を述べた。公聴会を単なる通過儀礼に貶めるやり方は断じて認められない。この公聴会へは過去最高の95人が応募し、全員が反対の立場だった。直近の世論調査でも8割が「政府は十分に説明していない」としており、全国各地で「戦争法案」廃案を求める市民が自らの意思で声を上げている。8月30日には12万人が国会を包囲し、全国各地で1000カ所以上の反対集会が催され、以降も国会前はじめ各地で連続して廃案を求める集会やデモが行われている。昨日、一昨日も国会前には3万人とも4万人ともいわれる市民が集い、札幌では14日から毎夕1500人にのぼる市民による集会とデモが連日行われ、廃案を求める声は日に日に大きく、強くなっている。こうした声を圧殺しての採決はまさに民主主義を顧みない政権の横暴であり、到底許されるものでない。強く抗議するものである。
 何より、国会審議を通じて本法案が、自衛隊を米軍の指揮下に置き、海外での戦闘・戦争に参加できるようにする、まさに「戦争法」であることが明らかになった。戦後歴代内閣が認めてこなかった海外で戦争する国にするための「集団的自衛権」の行使容認を、一内閣の勝手な判断で認めること自体、立憲主義の否定であり、このことが国会審議で追求された。参院での審議は中断が110回以上にのぼり、首相や防衛相ら閣僚答弁は答弁になっておらず、審議が進めば進むほど法案の根拠のなさが明らかになってきた。首相が集団的自衛権行使の具体例としてあげた「中東ホルムズ海峡の機雷封鎖」は「具体的に想定しているものではない」と自ら否定し、「邦人輸送中の米艦防衛」も「日本人が乗っていない船も守る」と表明し、この説明がでたらめだったことを認めた。政府はあくまで「日本人のいのちを守るため」と言い張ってきたが、それが全くの嘘であり立法事実は完全に破綻した。
 本法案の真の目的は、米軍と自衛隊が世界中で肩を並べて戦争することにあることが審議を通じて明らかになったが、これは憲法9条が禁ずる「国の交戦権は、これを認めない」「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした平和主義を踏みにじり、平和のうちに生存する権利を奪う暴挙であり、断じて許すことなどできない。
 さらに重大なのは、こうした憲法違反の法整備を国会に諮る以前に米国議会で首相が約束したことである。これは国会軽視も甚だしいが、憲法の上に安保条約を位置づけ、国民の承認なくアメリカの覇権の下請けを日本が行うことであり、「武器輸出三原則」の変更と併せ武器関連産業を潤そうとする財界大企業の論理を国民に押しつけるものである。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」憲法、世界平和の理念を否定する本法案の採決を強行した政権の横暴に、わたしたち教職員は満身の怒りを込めて抗議するものである。
 わたしたち教職員は今後、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンをさらに高く掲げ、本法案の廃案、日本国憲法の理念がいきる社会と学校の構築を目指し、運動をさらに強めることを決意するものである。

2015年9月17日
北海道高等学校教職員組合連合会
全北海道教職員組合