「違反の事実なし」クリアファイル調査を強行した道教委に断固抗議する!
一部の政治的圧力に屈する道教委はその姿勢を改めよ!(声明)
12月9日、道教委は道議会文教委員会で「クリアファイル調査の結果」を報告した。その内容は、「配布したところを見た0件」「置かれている等を見た8管内15校20件」というもので、「法令違反の事実はない」ことが明らかになった。そもそもこの調査は、道教委がその違反の事実を何ら示すこともできず、「違反の恐れがある」として全道のすべての教職員に対して行われ、その結果が「法令違反の事実なし」ということである。「いったい何のためにこんな調査を行ったのか」と全道の教職員からは道教委に対して不信の声が高まっている。
高教組は、この調査に対して①「政権批判は一切許さない」と言うに等しいもので、憲法21条(表現の自由)を真っ向から否定している②組合活動への介入に当たり、憲法28条(団結権)に違反する不当労働行為である③「密告」「相互監視」を奨励するもので、学校運営や職場に大きな否定的影響を与える、と問題点を指摘し、調査の中止を再三にわたり求めてきた。
今回の調査は、高教組のこれまでの主張が至極当然のものであり、道教委の行った調査がいかに道理の無いものであったかを改めて示したに他ならない。調査の強行に強く抗議し、これにかかわる一切の通知、結果の破棄を求めるものである。
しかし重大なことは、道教委は文教委員会で「法令違反の事実はない」と報告しながら「道民の信頼を損なうことのないよう調査を行った」とその調査を正当化し、わずか1通の「教室内で生徒の目に触れた」と回答があったことを「遺憾」として「教職員に対し、教育の政治的中立性の確保、服務規律の厳正な保持のための指導通知を発出する」としていることである。また、クリアファイルを発送した高教組に対しても「教職員は政治的行為に関する服務上の制約があることを十分理解の上」とも答弁し、高教組への「申し入れ」を行うことも示している。不当な調査の上、教育現場への政治的な圧力を肯定し、組合活動にまで介入する道教委の姿勢は許されることではない。
政権批判を「違法行為」と決めつけ、権力的に統制する今回のような調査は、さまざまな意見、言論を前提として維持される民主主義社会の根幹を破壊するものであり、その言論表現活動は著しく委縮させられることにならざるを得ない。その点では、道教委こそ教育の中立性を自ら損なっているといえる。われわれは、一部の政治勢力の言いなりになっている道教委に対し、その姿勢を改めさせ、教育現場でのびのびと教職員の教育実践が繰り広げられるよう「教育の自由」を守る世論を広げていく決意をここに示すものである。
12月10日
北海道高等学校教職員組合連合会