2022年9月1日

北海道教育委員会教育長

倉本 博史 様

北海道高等学校教職員組合連合会 

                                                                                               中央執行委員長    尾 張   聡

全北海道教職員組合            

                                                                                               執 行 委 員 長    中 村 哲 也

 

安倍元首相の「国葬」にかかわって、児童生徒や教職員への弔意の強制など、

学校教育への介入をおこなわないことを求める要請書

 

  政府は7月22日、安倍晋三元首相の「国葬」を9月27日に実施することを閣議決定し、さらに8月26日、「国葬」の費用として予備費から約2億4900万円を支出することを閣議決定しました。このことに関して、どの世論調査でも「国葬」実施に反対する声は多数を占め、弁護士や研究者からも反対の意思が表明され、「国葬」中止を求める訴訟も相次いでいます。

  現行法に「国葬」の規定はありません。「国葬令」は日本国憲法の制定とともに1947年に失効しました。にもかかわらず国会での議論もなく閣議決定したこと自体に、日本国憲法に抵触するという重大な疑義があります。

  「国葬」は安倍氏の政治を美化する政治的偏向にあたり、故人への賛美を国民に強要することにほかならず、民主主義を損なうものです。

  8月26日の閣議後の記者会見で松野官房長官は、「国民一人一人に喪に服することや、政治的評価を求めるものではない」として、「各府省庁に弔意表明を求める閣議了解は行わない」、「地方公共団体や教育委員会などの関係機関に弔意表明の協力を要望する予定はない」と述べました。これは「国葬」に対する国民の反対や疑念の声に配慮せざるをえなかったからにほかなりません。

  そうした状況にあって、万が一にも、道教委の判断として、学校に弔旗掲揚や黙祷等が強制されるとすれば、道教委が子どもや教職員に弔意を押しつけ、憲法第19 条が保障する「思想・信条の自由」を侵すことになります。

  以上の観点から、私たちは北海道教育委員会に対して、次の点を要請します。

 

 

  • 安倍元首相の「国葬」にあたって、児童生徒や教職員への弔意の強制など、学校教育への介入にあたる通知等をおこなわないこと。

 

  • 「国葬」後に学校でのとりくみについての報告を求めないこと。