合同教研の全体集会。
ボクの司会でスタートしました。ZOOMウェビナーなので140人の参加者の皆さんの顔が見えないことが残念ですが、これはしかたありません。しゃれで効果音を鳴らしてから開会しました。
開会あいさつで「上からの矢継ぎ早の施策に現場で無力感を感じることもあるが、これまで長年にわたって培ってきた合研のつながりを大切にしたい」と世話人の前田賢次さん(北海道教育大学札幌校)。
そして全体集会第1部では武田信子さん(武蔵大学人文学部教授・臨床心理士)が講演。「学びたいことを学べる社会へ ~過度に競争的な日本の教育の中で」と題して話されました。 デンマークは100年くらい前から価値観を転換している。日本でも価値観の転換が必要ではないか。固定化した教育のあり方、学校文化が、子どもの「体験と関係性の貧困」をつくりだしている。「何ができるか」ではなく、「well-being」(よい状態)を大事にする視点が求められるのではないか。「生きる力」と言われるが、それを「生き残る力」ではなく、「共に生きる力」と捉えたい。目先のことではなく、「500年後を考えたい」と講演を結びました。
第2部 トークセッション「自分が自分でいられる学校」
フリースクール自由が丘学園の新藤理さんが、「その子に合ったもの」を探そうとしているフリースクールの実践を紹介した後、「今の学校は生活の場としての役割が失われているのではないかと感じる」と述べ、卒業生が「自由が丘は自分を人間として見てくれた」と話してくれたエピソードを語りました。
第2部のテーマである「自分が自分でいられる学校」「学習発表会で、『学習発表会に参加したくない』という詩を発表する子がいるなど、子どものあるがままの言葉を受け止めることを大切にしている。」と話した藤澤さん。最後に新藤さんからは感動のエピソード。学校への不信から不登校でフリースクールに通っていた生徒にたいし、所属の小学校の校長先生が身分を隠し、立場を超えて信頼関係を作っていき、フリースクールでの卒業式で所属校の卒業証書を渡したという、先生と生徒が人が人として関われる学校が「自分が自分でいられる学校」かもしれないという心温まるエピソードでした。
第3部 GIGAスクール構想の課題と展望
前田賢次さんの司会で、GIGAスクールに関わっての学校の実情が報告され、稚内の小学校教員・内藤修司さんは、「課題は山積している。スキルとモラルの両方が求められる」と指摘。加藤陽喜さんは、「教科書採択と違い、見本もない、使い方も未定、入荷も不確実のまま端末選定に追われ、業者からの刺さり込みも増えている。ツールを使ってコミュニケーションが広がることなど、実践の交流で希望も見えている。目先の対応に追われることなく、『生徒の未来はもっと先にある』と思っている」としました。
講師の武田さんからの「先生方はICTを前向きに受け止めていますか?」との問いかけに、加藤さんは「ポジティブには考えていない。慎重に使わないとICTに使われることになる。『低所得層への貸与基準』が未だに明らかになっていないなど、条件整備の課題は残っている」と指摘しました。
皆さんの感想はまた今度。今週末は分科会です!