文科省は、2017年7月13日に発表した「高校生のための学びの基礎診断」(以下、「基礎診断」)実施方針にもとづいて、この間その具体化をすすめてきました。「基礎診断」は、義務教育内容を含めた基礎学力の習得と学習意欲の喚起をはかるための「測定ツール」として民間事業者につくらせるものです。文科省は、試験をおこなう民間の業者の審査結果を10月~11月に発表し、業者を認定するなど、2018年度からの制度の運用開始をめざしています。「基礎診断」の最大の問題点は、改訂学習指導要領に基づいて、学校外の民間教育機関がテストをおこない、その結果を高校の日常指導に生かすという仕組みにあります。文科省の文書では、それを「高等学校における基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの構築」としています。しかし、これがそのまま導入されれば、テストを口実に公的な学校教育に民間教育産業が参入支配していく構図をつくることになります。実施によって「生徒の学習意欲の喚起、改善を図る」ことにならない恐れが大きい、小中学校での学テ体制と同じ仕組みで高校教育をしばることになる、進学時、就職時の「学力証明書」になっていく可能性があるなどの問題点が指摘されています。文科省が作成した「高校生のための学びの基礎診断」リーフレットによれば、「各学校や教育委員会等において、この情報を参考として、選択・利活用について検討を行う」としており、「基礎診断」は使うかどうかも含めてすべて学校判断によるものです。
12月11日、道高教組は道教委に対し、「基礎診断」を導入しないことはもちろん、「基礎診断」の導入は、各学校や生徒個人の主体的判断を尊重し、道教委が押しつけることのないようにすること、 学校として実施する場合についてもすべての生徒に受検を強制することのないようにすること、生徒・保護者の経済的な負担軽減する具体的な対策を取ることなどについて、申入れを行いました。
今後、各学校においては、「基礎診断」を使うかどうかも含めてすべて学校判断によるものであるという原則を共通認識し、対応をすすめていくことが重要となります。