1月26日、民主主義の根幹を脅かす道教委のクリアファイル調査問題やこの問題を取り上げた釧路市議会での「市議会広報不掲載」問題などについて議論し、教育への不当な介入を許さないたたかい、言論・表現の自由を守るたたかいを訴える市民集会が、道高教組、道労連、自由法曹団北海道支部、北海道憲法会議など各界の団体のよびかけでひらかれました。(写真)
26日札幌市中央区の高校教職員センターで開催された市民集会には学校関係者や報道機関、市民60人余が参加。黒澤幸一道労連議長のあいさつに続いて道高教組亀谷学書記長が報告に立ち、「法令違反の事実はなかった」とされた道教委のファイル調査結果やこれにかかわる
亀谷書記長は、調査結果が「法令違反なし」となったのは当然で、これにより道教委調査が不当きわまりないものであったことが改めて明らかになったこと、それにもかかわらず、「誤解を招くことがないように」などと道教委が調査の正当化を続けていることは大問題として、道教委からの高教組への一方的な『申し入れ』文書を撤回し、「郵送などでなく、話し合いの申し入れをすべき」とする「申し入れ」を行ったことを明らかにしました。
集会では市議会での「クリアファイル調査」質問が市議会広報不掲載とされた日本共産党の梅津則行市議が「法廷闘争も辞さないと反論してきたが、市民の批判で、市議会は一転して質問の広報不掲載決定を撤回」と報告が行われ、「思想・良心・表現の自由、不当な政治的圧力からの教育の自由を守るために、連帯し、声をあげ続ける」とするアピールが採択されました。/
集会アピール
道民のみなさん
「政治的中立性」「公平性」の名による教育への介入、言論・表現の自由侵害が相次いでいます。埼玉県では「梅雨空に 9条守れの女性デモ」という俳句の掲載が「公民館だより」掲載を拒否され、兵庫県では「アベ政治を許さない」ビラを掲げた労組のイベントが「公序良俗に反す」と中止させられました。戦争法案を批判する発言を番組で行ったテレビキャスターには名指し非難の「新聞全面広告」、「マスコミを懲らしめるには広告収入をなくせば良い」と発言する国会議員、政権批判の記述があった試験問題について「政治的公平を定めた放送法に基づき不適切」と学内サイト掲載時に削除した放送大学、宮城県では高校生が学校祭に向けて実施した安保関連法案アンケートに関し生徒へ事情聴取し、校長が「設問に不適切な表現があった」と謝罪するなどが起きました。道内では、戦争法案反対の統一行動のため道高教組が作成したクリアファイルが問題視され、釧路市議会ではこれを取りあげた共産党市議討議の市議会「広報」不掲載問題までがおきています。
道民のみなさん
多様な意見が封じられるこれらの出来事は、戦前、戦中の言論弾圧を彷彿させるものです。道教委によるクリアファイル調査は、昨年暮れ「法令違反の事実はなかった」(12/9)と報告されました。しかし、強行されたのは全道1700の小中高校、特別支援学校の教職員3万9000人を対象にファイル所持者の「密告」を求めるという前代未聞のものです。対象とされた教職員一人ひとりの人権侵害というだけの問題ではありません。「なかった」で済ませるわけにもいきません。公権力による言論統制や教育への不当な支配を放置することは、言論表現の自由を保障することによって維持される民主主義社会の根幹を壊す大問題だからです。
道民のみなさん
戦争法反対の声が列島に渦巻いた昨年夏、暴走するアベ政権にNOを突きつけた若者たちは「民主主義って何だ」と立ち上がりました。デマや中傷誹謗にも屈することなく、戦争法が強行可決された後も、民主主義をとりもどすため声を上げ、今も続けています。夏の参院選を前に、その声が広がり続けることは権力者にとって脅威であるに違いありません。だから政権党による教育への不当な介入や道教委による過剰な対応、圧力は、今後も執拗に続けられることが予測されます。「それならやめておこう」と教職員が「忖度」することを狙い、社会全体にタブー・自粛を植えつけることがその目的だからです。だからこそ今日、私たちはここにつどい、不当な政治的圧力に屈せず、「やり過ごさない」「思考停止しない」ことの大切さを主張し続け、連帯し、声をあげ続けることを誓い合いました。
道民のみなさん
一方で18歳選挙権実施にともない高校生の政治活動禁止の「旧通知」を廃止せざるをえなくなった政府・文科省は、「(生徒が有権者として)自らの判断で権利を行使することができるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが重要」とする「新通知」を発しています。生徒と教師の政治活動の自由が保障され、自由闊達な議論と学びのなかで若者が主権者として成長していくことこそが時代の要請なのです。私たちは屈しません。思想・良心・表現の自由を守るために、教育の自由を守るために、民主主義と基本的人権を守るために、一緒に声をあげ続けましょう。
2016年1月26日 教育、言論・表現の自由を考える市民集会