マイナンバー制度に関わる要請書

 

 2015年5月に「行政手続における特定の個人を識別する番号の利用等に関する法律」が成立し、2016年1月1日より施行されます。

 そもそもマイナンバー制度は国民の願いから生まれた制度とは言いがたく、国民にその内容が十分理解されていないのが実情です。「行政事務の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」などと政府は広報していますが、一方で国家による国民の管理や監視が容易になる側面があることは見逃せません。また、個人番号(マイナンバー)が届かない人々が一定数想定される現代日本社会のなかで、そのような人々を社会保障から排除するしくみになってしまう懸念もあります。システム構築に要する莫大な費用が、効率化や利便性に見合ったものになるとは考えられないという指摘もあります。この制度については、多くの不安や問題を残したままであるということを前提にして、慎重な運用が求められます。

 全国中小業者団体連絡会と内閣府、国税庁、厚生労働省との話し合いで、「『個人番号カード』の取得は強制ではない。取得せずとも不利益はない」「確定申告書に番号未記載でも受理する。罰則や不利益はない」「労働保険の書類に番号の記載がなくても受理する」などを回答しています。また、本人はもとより、事業主に対する罰則や不利益もないと回答しています。

 個人番号はきわめて重要な個人情報であり、その扱いには個人の意思が尊重されなければなりません。個人番号を収集する場合にも制度の趣旨や収集の目的等が、個人に対して十分周知されなければなりません。さらに、収集した個人情報の管理には細心の注意が払われなければならず、その責任は当局が担うべきものです。こうした配慮なしに個人番号を収集することは法の趣旨に反する行為です。学校現場では、マイナンバーを扱う事務職員への負担増や精神的負担増が懸念されています。

 以上の点を踏まえ、マイナンバー制度の運用が法の趣旨に基づいて適正に行われるよう、下記のように要請いたします。

1 道教委の責任で職員に対してマイナンバー制度の趣旨や個人番号の収集の理由や収集および管理の方法について周知し、職員の理解を得るよう努力すること。学校現場においては学校長が職員に説明をすること。 

2 個人番号の収集・管理に学校事務職員を関与させることなく、道教委が直接責任を持って行うこと。学校現場で個人番号を保管することがないようにすること。

3 個人番号の提出は、本人の意思を尊重すること。

マイナンバー制度に関わる要請書